たまにはお仕事のことでも。。
昨日、往診にいったおうちのワンちゃん。
一人暮らしのおばあちゃんと暮らす、12才のおじいちゃんワンちゃん。
「尿もれ」「食欲がいまひとつ・・」とのことでした。
往診はむずかしいです。
お薬や必要な道具、電話の様子で予想して用意していかねばなりません。
検査もできることは限られます。
実際に伺って、実はまったく違う原因だったということも少なくありません。
尿もれは、高齢になってくると筋肉が弱くなるので、そのためか?
それとも、老齢性の慢性腎不全か?
食欲は、少しは食べるのか?まったく食べないか?
それとも、好きなもの(おやつなど)は食べるのか?
などなど、いろいろ考えながら伺うと・・・
ワンちゃん、とっても元気^^
しっぽふりふり、顔の表情もいいし、足腰もしっかりしています。
食生活を聞いてみると、なんと
1日にジャーキー(ササミをのしてあるタイプ)を10~20枚食べるとのこと!
しかも、
鳥の唐揚げと牛乳(人用)が大好き。。。
ちなみに唐揚げは、「どこどこのお店の唐揚げ」とご指定だそうで。。。
食欲不振の原因は、これか・・・^^;
ジャーキーのほうが美味しいし、それでお腹いっぱいになっちゃうのです。
だから、ドッグフードを食べない・・・。
しかも、ジャーキーはのどが渇くから、たくさんお水も飲みます。
そのぶん、オシッコもたくさん出る。。。
たしかに、オシッコがポタポタたれていました。
体に少し力が入るとポタポタしちゃうので、やっぱりこれは老齢性のものかな・・
血液検査は必要ないかな、とも思ったのですが、何か隠れてる病気もあるかも・・ということで、一応採血をして帰ってきました。
その後、検査をしてみてビックリ!!
腎不全をしめす値が、計測できる範囲を振りきる直前でした!!
他に肝数値とコレステロール値が少し高く・・これはジャーキーの影響かも。
はっきり言って、生きているのが不思議なくらいの数値です。。。
あんなに元気に見えたのに。。
見た目だけでは、わからないって実感。
腎不全になると、体外に排泄されるべき毒素がうまく排泄されず、血液中にたまってしまい、一種の中毒症状になります。
そのために、毒素をうすめようとして、お水をたくさん飲み、たくさんオシッコをする「多飲多尿」になります。
たしかにお水はたくさん飲むとおっしゃっていました。
いつ痙攣発作や昏睡状態になってもおかしくない数値でした。
腎不全には高タンパクな食事はNGです。
タンパク質の分解産物が、1番に毒素になりやすいからです。
ジャーキー、唐揚げ、牛乳が拍車をかけていたのです(全て高タンパク)。。
ただ、老齢による慢性腎不全の場合には、ゆっくりと症状が進むので体が毒素に慣れちゃうのです。
だから、あんなに元気があったんだね^^;
(*急性の場合は、薬物中毒や尿道閉塞などでおきます。)
それでも、いつ何がおきてもおかしくない状態なので、相談の結果、処方食と毒素を吸着する飲み薬での治療をはじめることになりました。
(ただし・・・腎不全は完治するものではありません。。。あくまで、進行を遅らせる治療になります。)
元気に見えても、思わぬ状態に体が陥っていること。
この仕事をしていると、ほんとにしみじみ思います。
今、時期的にフィラリアの予防が始まるので、血液検査をされる子も多いかと思います。
その時に、この子のように腎不全が発見された子もいます。
症状が出ていなければ、何か異常が発見されても体に負担にならないうちに治療ができることもあるので、年に1回は検査を受けてみるのもいいかな、と思います。
ちなみにゆずは、ガムの食べ過ぎで高タンパクでした^^;
ダメ飼い主ね~。。